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評価:
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オーディオテクニカ
¥ 13,400
(2006-11-24)
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平日の通勤時間は、増えるばかりで消化できない音楽を楽しむ時間にしている。iPodの80GBのモデルに音楽をつめこんで電車に揺られながら朝は眠い体をゆり覚ます音楽と、夜は疲れた体を癒す音楽を聞くのだ。
ATH-CK9はオーディオ・テクニカのカナル型ヘッドフォンの最上位機種だ。音質はオーディオ・テクニカらしく高音〜中音域が良く出ている。こう書くと
低音が出ていないと思われがちだがそういうわけではなく、低音は必要十分量は出ている。得意ジャンルはJazzやソウルのようなブラック・ミュージック。
Jazzのレーベルで言えばMPSのような高音域がのびる弦楽器や跳ねるように鳴らされるピアノを気持ちよく鳴らしてくれる。Yancy
Korossyのピアノの高音がiPod付属のヘッドフォンだと耳に突き刺さるように聞こえるのだが、ATH-CK9では見事いなしてくれる。Donny
Hathawayのライブ音源を臨場感をもって聞こえたのはこのヘッドフォンが初めてだ。Jimi
Hendrixのような乾いたロックンロールとも意外とよくあう。繊細な音と評されるが、線が細いだけであってしっかりと芯の通った音はしている。だから
ドライブ感のあるロックンロールなんかとも相性がいいのだと思うが、まとまりよく鳴らしてくれるきらいはあるのでロックンロールの荒々しさとかダイナミズ
ムを求める人にとっては不向き。J-Popではサ行のかすれが気になるが値段相応というところ。
見た目はATH-CK7のほうがチタン製ハウジングで高級に見える。対してATH-CK9は見た目がプラスティックで非常に安っぽいつくり。だが
逆にそれが自己主張しすぎないデザインとしていいと私は思っている。コードは太いがしなやかで癖がつきにくいので見た目以上に取り回しは便利に行える。
しっかりと太さはあるので断線に対してもそれなりに耐性はありそうだ。
付け方がちょっと特殊で耳の後ろからコードをぐるりと回して付ける形になっている。そのため一般的なイヤホンの付け方をしようとするとハウジング
横のオーディオ・テクニカのロゴが上下さかさまにくるデザインになっている。耳の後ろからコードをぐるりと回すのが正しい付け方ですよ、と暗に主張してい
るのだ。そうでない付け方でも一応音楽は聴くことはできるのだが、音が抜けてしまうためATH-CK9の本来の音を出すことはできない。また付属のイヤー
ピースも自分の耳にあわせて交換すること。私は現在、小サイズのものを使っているが、当初イヤーピースをパッケージにはいってる状態の中サイズのものを
使っていた。その状態では耳にフィットせずに音が漏れ、しかもしばらく使っていると耳に痛みを覚えるようになってしまった。耳にあうようにアジャストして
から音を聞くようにしないと早合点でせっかくの買い物を無駄にしてしまう。これは他のカナル型のヘッドフォンにも言えることなので気をつけたいところだ。
総合的に見ると非常に満足できるヘッドフォンであるといえる。多少の味付けはあるものの素直に原音の持つ良さを引き出してくれるヘッドフォンだ。逆にいう
とそこが普段からイコライザをかけがちなポータブル環境で聞いている人には不満を感じる点かもしれない。特に普及帯のヘッドフォンは少なからずイロのつい
た音を鳴らす機種が多い。イコライザをかけて、イロのついたヘッドフォンで聞いている環境からATH-CK9に移行するとあっさりしすぎると感じるかもし
れない。しかし素材本来の美味さを化学調味料抜きで楽しめると考えれば十分楽しめるのではないだろうか。一度、イコライザを切って音楽をこのヘッドフォン
で楽しんでみてはどうだろうか。